十四 綿摘み

綿摘みとは元来、綿を延ばして小袖の中入綿或は綿帽子等を作る業を云ふのであるが、之を本職の如くに見せて淫を売つたものを「綿摘み」と云つたのである。「守貞漫稿」には綿摘みの雇婦の如くに見せて売女せしなるべしとあるが兎に角、此の種の私娼は宝永の頃に流行したと見えて、宝永六年幕府の発した禁令に、「町中に遊び女を綿摘などゝ名づけ隠し置候義不屈云々」とある。「武江年表」に依れば宝永の頃まであつたとある。